純文学のおすすめ作品

【樋口一葉】おすすめの本7選|初級編・中級編に分けてご紹介

明治時代の女流作家・樋口一葉は、25年の生涯で多くの作品を残した作家です。

今回は、樋口一葉のおすすめの本を7冊ご紹介します!

樋口一葉ってどんな人?

一葉は、「奇跡の14か月」と呼ばれる亡くなる間際の期間に、日本の文学史に残る作品を執筆しました。一葉については、以下の記事をご参照ください。

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初級編

「とりあえず、有名な作品をさらっと読みたい!」「話振られたとき困らないように、代表作だけ知っておきたい!」というビギナー向けに、読んでおけば間違いない作品を4つ紹介します。

『にごりえ』

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発表年1895年
カテゴリ短編小説
ジャンル心中もの

あらすじ

布団屋を営む源七(げんしち)は、かつて銘酒屋で働くお力(りき)のなじみの客でした。源七は、経済的な理由でお力のところに通えなくなってしまいましたが、それでもお力への思いは消えてはいませんでした。

一方で、お力には新しく朝之助(とものすけ)という客がつき、2人は親交を深めます。そんな時、源七の子どもはお力から高級なお菓子をもらいます。それに激怒した源七の妻は、源七と言い争いになりますが、お力もその争いに巻き込まれてしまうのでした。

感想

一葉らしく、本当に救いようのない話だなと思います。また、花柳界はきらびやかで憧れる世界ですが、同時に恨みつらみも集まる場所なのだと考えさせられる作品です。

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『たけくらべ』

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発表年1895年
カテゴリ短編小説
ジャンル恋愛

あらすじ

遊女の姉を持つ少女・美登利(みどり)は、裕福な人が集まる表町に住んでいます。表町の子供たちと、貧しい人が住む横町の子供たちは対立していました。

一方で、美登利は同じ学校に通う藤本信如(しんにょ)という少年に憧れるようになります。しかし、表町と横町の対立のせいで、2人の仲は引き裂かれてしまうのです。

感想

一葉が吉原(政府公認の遊郭)に近い場所に住んでいたときの経験が元になっている小説です。少女が大人になっていく過程が、髪型や態度で描かれています。大人の女性に近づいた美登利が、少年たちと遊ばなくなるところは非常に切ないです。

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『大つごもり』

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発表年1894年
カテゴリ短編小説
ジャンル感動

あらすじ

お峯(みね)は、山村家で使用人として働く18歳の少女です。両親を亡くしたお峯は、叔父に育ててもらいました。ある年の12月に叔父が倒れてしまったため、お峯は山村家に暇をもらって叔父の家に向かいます。

そこで、お峯は叔父から「年越しのために2円(4万円くらい)貸してほしい」と言われます。お峯は、ケチな山村家の人からダメもとで借金をしようとしますが、やはりお金は借りられませんでした。お峯が途方に暮れていた時、奇跡が起こります。

感想

「大つごもり」は、大みそかのことです。「かさじぞう」のように、年末に奇跡が起こるお話です。一葉自身が貧しい生活を送っていたので、金持ちとそうでない人の格差が激しい社会や、けちな金持ちへの批判が描かれているのではないかと思いました。

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『十三夜』

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発表年1895年
カテゴリ短編小説
ジャンル悲恋

あらすじ

お関(せき)は、役人の勇と結婚しました。しかし、子供が生まれてからというもの、お関は勇からDVを受けるようになります。耐えかねたおせきは、両親に離婚する旨を伝えに行きましたが、離婚は許されませんでした。

その帰り道、車に乗ったお関は、車夫(車を引く人)がかつて好意を抱いていた録之助(ろくのすけ)だと知り、なんとも言えない気持ちになるのでした。

感想

ロミオとジュリエットを想像するような、身分違いの恋が描かれます。お関は、地位の高い男と結婚している夫人で、車夫の日雇いでその日暮らしをしています(昔、車は牛が引くものでした。「車夫は家畜と同等」という認識があったため、車夫の社会的地位は低いです)。

学生の頃、2人は同じ目線で恋をしていたのに、社会的地位の差が明らかになってからまた再会するという、とても切ない物語です。

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中級編

「代表作一通り読んで、もっと他の作品も読んでみたくなった!」「もうにわかは卒業したい!」という人向けに、ここでは定番からは少しそれた作品をご紹介します。

『闇桜』

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発表年1892年
カテゴリ短編小説
ジャンル悲恋

あらすじ

千代は、近所でうわさされるほどの美少女です。千代は、隣に住む6歳年上の良之助と仲良くしていました。

あるとき、千代は良之助と縁日に行きます。そこで友達にからかわれた千代は、良之助を男性として意識するようになります。それから、千代は良之助を避けるようになり、ついに病気になってしまいました。

感想

当時、女性は従順で大人しいことが理想とされていました。そのため、年頃の女性は男性と2人でいると、その人とただならぬ関係だと思われてしまうのです。だからこそ、千代は友達にからかわれて、過剰に反応してしまったのでした。

また、近所のお兄ちゃん的存在だった人を、突然男の人として意識してしまうというのが、少女漫画にありそうな設定だと思いました。

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『うもれ木』

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発表年1892年
カテゴリ短編小説
ジャンル ‐

あらすじ

薩摩焼の絵師・籟蔵(らいぞう)は、妹のお蝶と暮らしています。籟蔵は質の高い作品を作りますが、時代遅れの技術は世間から受け入れられず、2人は貧しい生活をしています。

そんなとき、籟蔵の前にはかつて同じ師匠に師事していた篠原という男が現れます。篠原は、師匠の金を持ち逃げし、師匠の死に際にも顔を出しませんでした。初め、籟蔵は篠原に強く当たりますが、改心した篠原を見て徐々に心を開いていきます。

資産家になった篠原は、籟蔵に資金を提供することを提案しますが、そこには篠原の思惑がありました。

感想

「金に目がくらむことの卑しさ」「金か芸術か」「恋愛のために命を落とすという旧時代的な価値観」など、短い小説の中にいろいろなテーマが盛り込まれていると思いました。

特に、芸術と商業というのは非常に難しい話題だと思います。太宰も、大衆向けの作品を書くことと向き合っていたりしますし、芸術家を悩ませる永遠のテーマなのだと思いました。

【樋口一葉】『うもれ木』のあらすじ・内容解説・感想『うもれ木』は、一葉が有名になるきっかけとなった作品です。 今回は、樋口一葉『うもれ木』のあらすじと内容解説、感想をご紹介します!...

『軒もる月』

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発表年1895年
カテゴリ短編小説
ジャンル ‐

あらすじ

袖(そで)は、職人の夫の帰りを待ちながら桜町家で使用人として働いていた時のことを思い出します。袖は、桜町家の主人から多くのラブレターをもらっていましたが、1つも開封していませんでした。

夫との子供の寝顔を見ながら、袖は1つずつ手紙読んでいきます。

感想

ネタバレになってしまうので言えませんが、驚きの結末でした。身分相応の人と結ばれるか、玉の輿に乗るか、袖の立場を考えると悩むところだなと思います。

【樋口一葉】『軒もる月』のあらすじ・内容解説・感想「軒(のき)もる月」というのは聞きなれない単語ですが、「軒からもれる月明かり」という意味で、和歌によく詠み込まれたものです。 今回...

最後に

今回は、樋口一葉のおすすめの本を7冊ご紹介しました。

古文調なので抵抗がある人もいるかもしれませんが、男性作家とは違う優しい文章なので、ぜひ読んでみて下さい!

ABOUT ME
yuka
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「純文学を身近なものに」がモットーの社会人。谷崎潤一郎と出会ってから食への興味が倍増し、江戸川乱歩と出会ってから推理小説嫌いを克服。将来の夢は本棚に住むこと!
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