純文学の流派

白樺派とは?代表作家を含めてわかりやすく解説

中学や高校の日本近代史の授業で、訳も分からず「白樺(しらかば)派」という単語を覚えた人は多いのではないでしょうか?せっかく覚えたのに、それが何なのか分からないのはもったいないですよね。

今回は、白樺派という文学ジャンルを代表作家を含めて分かりやすく解説します!

白樺派とは?

「白樺」という同人誌に集った作家たちの文学です。同人誌とは、自分の作品を発表したい人が、お金を出し合って刊行する雑誌のことです。作品発表の場であるため、営利目的ではありません。

白樺派は学習院大学を母体としています。学習院は、当時日本で唯一の貴族(皇族、多額納税者、爵位を持っている人)のための学校でした。様々な美術に囲まれて育ってきた人たちであるため、芸術家を兼ねている作家が多いのも特徴です。

白樺派の特徴

白樺派を理解するためのキーワードは、人間肯定・個人主義・生命・人道主義です。

人間肯定

それまで文学の主流だった自然主義の作家は、ひたすらに自己の否定をします。

これまでの人生で犯した罪を赤裸々(せきらら)に告白し、読者の前で懺悔(ざんげ)するというものです。例えば田山花袋は、『蒲団』という作品で、女学生の寝ていた蒲団の匂いをかいだことを告白してひたすら謝っています。

そのため、自然主義の作品には苦悩が満ちあふれていて、暗い雰囲気が漂っているのが特徴です。

これには、自然主義の担い手が40代くらいの男性で、彼らは人生をほとんど終えていて、希望のある未来を持っていないということが関係しています。

 

そんな鬱々とした小説を読んだ若者はどう思うでしょうか?きっと暗い気持ちになるでしょうし、「人生ってそんなに苦しいものなのか?」と疑問を持つでしょう。

そこで自然主義と対立する形で現れたのが、白樺派です。白樺派の担い手は先の明るい若者だったため、自己を高めようとする成長意識があり、自然主義のように自己を否定する風潮はありません。

19歳の時に白樺派と出会った芥川は、白樺派を自然主義と比較して「爽やかな風のようだ」と表現しています。白樺派は、未来ある青年たちから支持されました。

個人主義・生命

人間を肯定する白樺派は、当然自分のことも大切にします。自然主義との大きな違いは、性の捉え方です。自然主義は、自然科学(客観性を重視するもの)から出発したため、欲望(主観的なもの)全般を否定します。

特に性欲を持つことを極端に悪だとみなしますが、白樺派はその真逆の立場をとります。自己の絶対的な尊重を足場にして欲望を自由に表現する白樺派は、性交渉も自慰も肯定します。

これらは命の誕生につながるため、生命賛美を軸にする白樺派はそうしたものを許容するのです。

人道主義

白樺派に属する人たちは、学習院出身のお金持ちです。彼らは自分たちが恵まれた貴族であることに後ろめたさを感じており、まだまだ貴族と平民の格差が大きかった日本で、平等な社会を築くことを望みました。

また、武者小路はトルストイ(ロシアの小説家。貴族出身だが、晩年は禁欲生活を送った)にはまり、彼の平等な社会の実践として宮城県に「新しき村」という村を作って自給自足の生活を送りました。

 

「では、白樺派は社会主義者の集まりなのか?」と思う人もいるかもしれません。実際、プロレタリア文学の中心人物の小林多喜二は、志賀直哉の作品を参考にしていました。

しかし、白樺派は平等な社会が来ることを望んでいるだけなので、戦って平等を勝ち取るプロレタリアの流れを汲んでいるわけではありません。

仲良し

普通同人は、メンバーのうちの1人が有名になったらその人は同人を抜けてソロ活動を始めるため、解散しがちです。

しかし白樺派はたくさんの著名な作家を輩出しているにもかかわらず、バラバラにならないで長い間存続していました。これは、白樺派の同人同士が仲良しで、結束が強かったことを象徴しています。

白樺派の代表作家

武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)

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武者小路実篤は恋愛を賛美するところがあるのですが、相手が誰でもいいとは思っておらず、遊女屋に足しげく通っていた志賀を批判したと言われています。

高校時代にトルストイにはまり、自己を肯定・尊重する姿勢を貫いた人物です。代表作『お目出たき人』は、「女に飢えている」という直接的な言葉が目を引く作品です。

ページ数176ページ
出版年1999年
出版社新潮社

志賀直哉(しが なおや)

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志賀直哉は、結婚やお金、その他諸々の原因があって、父親と長い間争っていました。彼の代表作『和解』は、志賀が父との不和を解消したことが題材になっている小説です。涙なしには読めません。

ページ数176ページ
出版年1949年
出版社新潮社

有島武郎(ありしま たけろう)

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有島武郎は、自らが資産家階級(労働者を使う側の人のこと)であることに悩み、小作人のために農場を解放した人物です。代表作は、貧しい漁村の絵描きが登場する『生れ出ずる悩み』です。

ページ数141ページ
出版年2004年
出版社新潮社

最後に

今回は、白樺派について解説しました。自然主義と対立した、精神的な自由と自己の総長がテーマになっている流派です。

この記事がきっかけで白樺派に興味を持った人は、ぜひ白樺派の作家の作品に触れてみて下さい!

ABOUT ME
yuka
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「純文学を身近なものに」がモットーの社会人1年生。谷崎潤一郎と出会ってから食への興味が倍増し、江戸川乱歩と出会ってから推理小説嫌いを克服。将来の夢は本棚に住むこと!
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