「短編と言ったら芥川」というほど、芥川は短編小説をたくさん書いた作家です。作品が多すぎるので、何から手を付けたら良いか分からない人も多いのではないでしょうか?
今回は、私が自信をもっておすすめする芥川龍之介の短編小説をご紹介します!
芥川龍之介ってどんな人?
芥川は、同時代の作家に大きな影響を与えた人物です。親友の菊池寛(きくちかん)によって芥川賞が設立されたこともあり、現代にいたるまで多くの人に愛されています。詳しい人物解説は、以下の記事をご参照ください。
芥川龍之介のおすすめ作品
3位『杜子春(とししゅん)』
ページ数 | 190ページ |
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出版年 | 1968年 |
出版社 | 新潮社 |
中国の唐~宋の時代に書かれた『杜子春』という小説が元になっています。
大金持ちの息子が、改心して新しい人生を歩み始めるまでが描かれます。お金に寄って来る薄情な人間、母親の愛などを通して、素朴な生活の良さを再認識できる小説です!
2位『蜜柑(みかん)』
ページ数 | 240ページ |
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出版年 | 2017年 |
出版社 | 岩波書店 |
芥川の実体験が元になっている小説です。だるすぎて何もやる気の起きない主人公は、小汚い娘が電車で向かいの席に座ったのをものすごく嫌がります。
しかも、彼女は自由席の切符を持っているのに指定席の車両にいたり、勝手に窓を開けたりと、主人公をいらいらさせることばかりします。しかし、主人公はそんないら立ちを一瞬で吹き飛ばす場面に遭遇したのです・・・。
読み終わった後、本当にすがすがしい気持ちになれるので、お気に入りの作品です!単純にみかんが好きだからというのもあります。
1位『地獄変(じごくへん)』
ページ数 | 190ページ |
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出版年 | 1968年 |
出版社 | 新潮社 |
一言で言うと、「狂気」です。芸術至上主義という、芸術のためなら何でもやっていいという思想に基づいて書かれた作品です。
芥川=児童向けの小説を書く作家というイメージを持っている人は、「芥川って、こんなにグロいお話を書く人なの!?」と驚くと思います。内容が振り切っている面白い小説です!
最後に
今回は、芥川龍之介のおすすめの短編小説をご紹介しました。上に挙げた3作品は、本当に私が好きな作品なので、世間一般に言われているおすすめとはかけ離れていると思います。
特に地獄変は、タイトルを聞いたことのない人もいるかと思います。ですが、あまり有名な作品ではなくても素敵な作品はたくさんあるので、ぜひお気に入りの作品を探してみて下さい!
芥川の作風は、初期・中期・晩年で大きく異なります。初期・中期は、起承転結があって素直に面白いと思える作品が多いです。今回挙げた3作品は、すべて初期・中期に書かれたものです。
一方で晩年の作品は、特に何も事件が起こらないエッセイのような作品が多いです。蜃気楼(しんきろう)を見に行ったけど結局見れなかったり(『蜃気楼』)、ひたすら隅田川への愛を語ったり(『大川の水』)、「・・・で?」となるものばかりです。
これは、晩年は芥川が精神を病んでいたり、自殺を考えていたことが大きく影響しています。そのため、生死をテーマにした作品が多いという特徴があります。詩のような小説が好きという人は、晩年の芥川の小説を読んでみると良いと思います!